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Emacs のコマンドにはすべて名前があります。そして、使用頻度の高いコマン ドや素早い打鍵が必要なEmacsコマンドは、使い勝手をよくするために、キー (文字の短い列)にもバインドしてあります。もちろん、キーバインドを思い 出せなければ名前を打つことで起動できます。素早い打鍵が必要でないその他 のEmacsコマンドはキーにバインドしてありません。したがって、これらのコ マンドを実行する唯一の方法は、コマンド名を使うことです。キーに割り当て る場合には See 節 AE.3 キーバインディングのカスタマイズ を参照してください。
慣習として、コマンド名は1単語かハイフンで区切った2語以上の単語からでき ています。たとえば、auto-fill-mode
やmanual-entry
です。た とえ打鍵文字数が多くなったとしても、(意図が)不明瞭な文字数個をキーと して使うよりも、英単語をコマンド名として使うほうが覚えやすいのです。
コマンドをその名前で実行するには、M-xで始めて、 コマンド名を打ち込み、RETで終えます。 M-xは、コマンド名を読むためにミニバッファを使います。 RETキーはミニバッファを抜けてコマンドを実行します。 このとき、プロンプトとして文字列`M-x'を ミニバッファの先頭に表示して、 実行するコマンド名を入力しなければならないことをユーザーに示します。 ミニバッファの詳細については、See 節 E. ミニバッファ (2005/05/02)。
コマンド名の入力には、補完を使えます。 たとえば、つぎのように打って、 コマンドforward-char
を起動できます。
M-x forward-char RET |
あるいは、
M-x forw TAB c RET |
とします。 ここで、forward-char
は、 C-fキーで起動されるコマンドと同じです。 コマンドがキーにバインドしてあるかどうかに関わらず、 M-xですべてのEmacsコマンドを名前で起動できます。
コマンド名を入力中にC-gを打つと、 M-xコマンドを取り消してミニバッファから抜け出し、 最終的にはトップレベルに戻ります。
M-xで起動するコマンドに数引数を渡すには、 M-xを打つまえに、数引数を指定します。 M-xは、実行する関数に引数を渡します。 引数の値は、コマンド名を読み込んでいるあいだ、プロンプトに表示されます。
入力したコマンドに専用のキーバインドがある場合には、 Emacsはその旨エコー領域に表示します。 この表示は、コマンドの実行が終了したあと、2秒間表示されます (すぐに何かを打てば、この限りではない)。 たとえば、コマンドM-x forward-wordを入力した場合、 M-fと打ったほうが簡単に同じコマンドを実行できるという意味の メッセージが表示されます。 suggest-key-bindings
にnil
を設定すれば、 これらのメッセージ表示をオフにできます。
本書では、名前で実行するコマンドの説明において、 名前を終えるために必要なRETを省略します。 つまり、M-x auto-fill-mode RETではなく、 M-x auto-fill-modeとします。 コマンド名に続く引数も示す場合のように、 RETが必要なことを強調する場合にのみ、 RETを書きます。
M-xは、execute-extended-command
を実行することで動作します。 execute-extended-command
は、 他のコマンドの名前を読み取って、それを実行する役割を担うコマンドです。
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